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鹿を解体し、精肉するギャル原(左)と筆者

記者コラム 「多事奏論」 編集委員(天草)・近藤康太郎

 猟期が始まった。

 東京のフレンチレストランに鴨(かも)肉を卸し、4年になる。「猟師・近藤康太郎の諫早鉄砲鴨」というブランド名。お客さんから「あの猟師の人の、もう入った?」と問い合わせをいただいているらしい。ありがたい限りである。

 「まだ?」と軽く聞くけれど、あなたね、そんな簡単に、撃てば獲物が足元に落ちてくるぐらいに考えてるんだろうけど、相手は高速で飛び、あてるのがそもそも難しいし、落ちた獲物を探すのは超絶重労働なのだ。つい先日も、今季初の「UFO案件」にあたってしまった。

 撃つ。たしかに落ちた。イバラやアザミを特製鎌で切り倒し、枯れた竹やぶをくぐり、下草を指でかきわける。落ちた可能性のある地面を、細かく区切って全部見る。1時間経つ。いない。歩いて逃げた可能性を考え、逃走経路を推理する。水路や石の下をのぞいて回る。2時間経つ。いない。あきらめきれず、捜索範囲を広げて3時間。……消えた。

 UFOが回収し、宇宙に帰ったのだ。

 そうとでも考えなければ、おめおめ下界に戻れない。人生最大級のエラー。

 撃ち落として、食べなかった…

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